--------(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2006-10-30(Mon)

おひゃおひゃ。

 「蝶の舌」というDVDは、恐ろしくつまらんかった。
 シュール系? ファシズムとか時代の動く瞬間だとか、思春期の不安定な心とかそんな感じを表現したのだろうけど、おいらにゃよくわからんかったです。
 おすすめってかいてあったから、借りたのに~~~!

 今日はコンタクトの調子が悪く、目が真っ赤になりました。
 しかも仕事が忙しい時に~~~~っ
 まぁ、ともかく、今日が無事終わってよかったでやんす。

 続きはラストの実話。
 10まで行ったので、次からは横着しないで(笑)ストーリーを書きたいと思いますです。

 
 NO,10

 コンコン。
 窓ガラスを叩く音。
 わたしは部屋のカーテンを開ける。目の前に和志君の顔が見えた。肩までの長い髪はぼさぼさで、メガネをかけている。やせ細っている顔は、目がやけに大きく見えた。
 和志君は笑顔で手を振った。
「兄ちゃん、和志君だよ」
「え? 和志? ちょっと、どけ」
 兄ちゃんがすばやく窓を開けた。ひんやりとした風が部屋の中に入ってくる。和志君の背後にある月が輝いてて綺麗だった。
「どしたー?」
「いや、暇でよー。なにしてんの?」
 兄ちゃんたちのやりとりを、わたしはわくわくしながら見ていた。晩ご飯を食べた後に、家族以外の人と話すことなんて、初めてかもしれない。
 わたしは嬉しくて、笑い出した。両足をばたつかせ笑い転げる。
「おい、さおり。静かにしろよ! おかあさんに見つかっちゃうだろう?」
 わたしは両手で口を押さる。それでも笑い声は手の隙間から零れてしまった。
「入っていい? 寒いから」
「いいけど、どうやって入る?」
「んー、ちょっと待って」
 そう言って、和志君は窓から消えた。
 わたしと兄ちゃんが窓から外へ身を乗り出す。すると、和志くんは灯油タンクの下にある、ビールケースを持ってきた。
 それを二個積み上げて、ふらつきながらも、和志君は部屋に入ってきた。
「くつ、くつ!」
「あ、やべ」
「あはははは」
「しー! だって、さおり!」
 わたしは初めて笑いながら、トランプをした。いつも負けてばかりで悔しくなるのに、その日は負けても楽しかった。
 わたしは小学校五年生だった。その頃、おとうさんの転勤で田舎に住んでいた。
 前に住んでいた街は大きかったけれど、あまり遊べなかった。わたしはエレクトーンを習っていたし、友達も習字やそろばんがあって遊ぶ日が決まっていた。
 日曜日は遊んじゃいけない日だったし、遊ぶところも限られていた。
 だけど、田舎に来てからは、木曜日が習い事の日だった。
 エレクトーンのわたしも、ピアノの子もそろばんの子も習字の子も同じ日で、列車に乗ってみんなと行くから、楽しかった。
 だから、いつも誰かと遊べたし、日曜日も暇だったから、色んな子と遊べた。
 だけど、夜まで遊べることはなかった。
 そう思うと嬉しさが込み上げてくる。お母さんにもお父さんにも見つからないように、コソコソとトランプをして遊ぶのが、悪いことをしている気分で、とても楽しかった。
「和志君のお父さんは、夜遊んでも怒らないの?」
「あー、オレんち、母ちゃんもいないし、父ちゃんはいつも遅いから、全然平気。家にいてもつまんないからさ」
「へー、そうなんだー」
「あ、今度、妹の涼香も連れてきていい? 人見知りする子だけど、さおりとだったら気が合いそう」
「涼香ちゃんて、わたしの一個上の?」
 色黒の少女を思い浮かべる。ぼさぼさの伸ばしっぱなしの髪で、和志君と同じくやせ細っている。いつも俯いて歩いているので、猫背の少女だった。
 話したことがなかったが、和志君が言うのなら、気が合いそうに感じた。
 コンコン。
 次の日から、涼香ちゃんも家に来るようになった。和志君の後ろにへばりつくように涼香ちゃんがいた。
 私と目が合うと、和志君の影に隠れてしまった。
 田舎育ちというだけで、活発で人見知りしない子ばかりだと思っていたけど、涼香ちゃんはその反対だった。
 いつも通り、部屋に入ろうとビールケースを持ってきた。最初は涼香ちゃんがいいだろうと登らせるが、ふらつく足元と慣れないわたしたちに緊張して嫌がった。
 その時、物音に不審に思った親が部屋のドアを開けて、見つかってしまった。
 二人は帰らされ、わたしたち兄弟も怒られた。
 コンコン。
 それでも一週間後、窓から合図があった。窓にはふたり分の影があった。
「つまんねーよー。遊ぼうよー」
「悪い。親に見つかると、怒られるからさ」
「えー、つまんねーのー」
 そう言いつつも、兄ちゃんは和志君とたわいのない話をしていた。漫画のこと、学校のこと、近所の噂やゲームのこと。
 その度に親に見つかり、和志君たちはすごすごと家に帰っていった。
 そんなことが十回以上も繰り返されると、うちの親も違う手段をとったらしい。
 つまり直接、和志君のお父さんに何か言ったらしいのだ。
 そう、和志君から聞いた。
 もちろん、晩ご飯を食べた後の時間に。
「おまえんち、ひどいよ。オレ、父ちゃんに殴られたんだぜ?」
「ごめん、うちの親、うるさいくてさ」
「ねぇねぇ、和志君、また見つかっちゃうと怒られるよ?」
 わたしは和志君のことが心配になった。涼香ちゃんも殴られたのだろうか、今日は姿がなかった。
 いつもどんなことがあっても怒らず、和志君は優しかった。
 面白い話をしてくれて、よく笑わせてくれた。
 だからまた叩かれたりしたら、かわいそうだと思った。
 その時、後ろからわたしのお父さんの怒鳴り声が聞こえた。
「何時だと思ってるんだ!」
 怒鳴り声に驚き振り返る。みんなが今日もこれで終わりだと思った。
「そんなところにいたら、風邪を引くだろう! ちゃんと玄関から入ってこい!」
 きょとんとする、わたしと兄ちゃんたちだった。
 和志君の顔が、今まで以上に明るい笑顔になった。
「いいの? 入っていいの?」
「もういい! 諦めた! ただし、ここに来ていることをお父さんに言っておくこと。わかったな」
「はい!」
 そう言って、和志君は玄関から遊びに来るようになった。
 たまにご飯を一緒に食べたり、お風呂に入って帰る日もあった。休みの日は一日中遊んだ日もあった。
 優しい兄ちゃんが増えたみたいだった。
 涼香ちゃんとは、和志君の言うとおり、すぐ気が合い、姉妹のようになっていた。
 ちょっと違うのは、年下のわたしがお姉さんで、年上の涼香ちゃんが妹のような関係だった。ふたりでよくそれぞれの兄ちゃんの悪口を言った。
 いつも和志君たちはわたしの親を感謝してくれた。わたしはちょっと誇らしかった。

 半年経ったある日、急に和志君は学校を休んだ。
 最初は風邪だと言われていたが、何ヶ月も入院したまま帰ってこなかった。
 ある日の学校帰りに、涼香ちゃんに会った。いつもよりやつれて、道ばたでうずくまっている。
「涼香ちゃん、どうしたの?」
 わたしが声をかけると、涼香ちゃんはわたしを見上げ、抱きついてきた。
「さおりちゃん、どうしよう、どうしたらいいかわかんないよう」そう言って泣き出した。
 涼香ちゃんは小さい子のように泣きじゃくっている。
 しばらく落ち着かせてから、わたしは聞いた。
「どうしたの? また、お父さんが殴ったの?」
 ゆっくり首を振る涼香ちゃん。小さく、もう慣れたもんと言った。
「涼香ちゃん、どうしたらいいの? わたし、なにしたらいいの?」
 首を振りながら、涼香ちゃんは泣き出した。こんなに泣く涼香ちゃんは初めてだった。
「転勤になったの?」
「ううん、違う。兄貴のこと」
「和志君?」
「……白血病だって、もう直らないって。あの親父がはやく病院に連れて行けば良かったのに!
 もう、手遅れになっちゃったんだよ!」
 そう言って、わたしにしがみつきながら、涼香ちゃんは泣いていた。
 白血病なんて、テレビのお話だと思った。一生懸命思い出し、わたしは疑問をぶつける。
「違うよ、涼香ちゃん。だって、白血病って、生まれつきの人がなるんだよ? 和志君すごく元気だったじゃん!」
「だって、お医者さんが言ったもん! もう、兄貴、助からないって言ったもん! 
 何で早く連れて来なかったって、お医者さんが怒ってたもん!
 どうしたらいいの? 兄貴がいなくなったら、もうわたし一人ぼっちになっちゃうよ! イヤだよ、ヤダヨ!」
「嘘だ! 違うよ、絶対助かるよ、和志君は……、絶対……」 
 わたしも涼香ちゃんと一緒に泣いていた。道ばたで真っ暗になるまで泣いた。
 しばらくして、涼香ちゃんも付き添いで学校を休んだ。
 わたしは一度もお見舞いには連れて行ってくれなかった。


 半年後、和志君は亡くなった。
 病名はやはり白血病だった。詳しい病名は覚えていないが、急性白血病だと思う。
 お葬式の日、涼香ちゃんはありがとうと言ってくれた。
 最後のお別れの時、わたしは勇気を出して、和志君の姿を見た。
 干からびた頬は少し膨らんでいた。眼は半開きで、口も歯が見えるほどあいていた。
 目があった気がした。
 背後から大人たちの声が聞こえる。
「だいぶ苦しんだらしいよ。だから、眼が閉じられないんだよ。かわいそうに」
 それを聞くと、わたしは逃げるように、葬式の会場である公民館を飛び出した。


 その日の夜、おかあさんに心配されながら、わたしは寝た。
 ふと目が覚める。部屋は真っ暗で寝静まっていた。
 泣き疲れているのに、なんでこんな時間に目が覚めたのだろうと思った。

 コンコン。

 風の音だと思った。
 風の音は聞こえないけど、風に舞った何かの音だと思った。

 コンコン。

 来たんだ。
 やはり、あの時目があったんだ。
 ビールケースに乗って、わたしがカーテンを開けるのを待っている。
 苦しんで辛くてやせ細り、目だけが大きく見える顔が、勝手に脳裏に浮かぶ。
 何度も兄ちゃんを呼んでも起きてくれなかった。ゆすり起こしても起きない。

 コンコン。

 怖かった。何かに引き込まれそうだった。
 わたしは走って、両親の部屋に向うと泣きながら、怖いと訴えた。
 結局その日は、両親の部屋で寝た。

 次の日、窓を開けると、外には何もなかった。
 何かが当たった形跡もない。でもはっきりと窓を叩く音と姿を覚えている。


 
 
 ――――――――――――――――――――――――

 この話をのちに涼香ちゃんに話すと
「なんで、うちには来てくれないんだろう。幽霊でもいいから会いたい」と言ってました。
 やはりこういうのを見やすい人と、見えない人(あの時どんなことしても起きなかった兄ちゃんがそうだと思う)がいるんだなと思った。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

リンク
ツイッター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。