2006-12-19(Tue)

ネタがない。

 無いのは日記ネタですけど。

 いかボン、美味いなぁ~。
 あれ? ダイエットは?


 続きは昨日の続きですー。
 願いの叶う鏡。 昨日より続き。

 その子は同じ塾の中島だった。塾の一番最初の日に席が隣だったこともあり、話しかけてきた子だ。
 だけど僕と中島が話をしたのはその日だけだった。次の日には中島は女友達を作り、それ以来一緒にいる。今は目を合わすこともなかった。
 鏡の中の僕は、中島を見つめている。筋肉のゆるんだ頬に下がった目尻は自分でもだらしなく思えたが、幸せそうだった。
 塾の最初の日のように、中島は僕に話しかけている。身振り手振りも添えて僕に伝えようと必死だ。
 鏡の中の僕は中島の髪に触れ、頭をゆっくり撫でた。中島は嬉しそうな表情をして、僕を見つめ返す。
 まるで吸い寄せられたかのように、中島が鏡の中の僕にもたれかかった。鏡の僕は中島を抱きしめた。
 僕は鏡を見続けていた。背中の痛みで、夜が明けたのを知った。


 結局僕は体調が悪いと塾を休んだ。布団に潜り、僕は鏡を見続けた。
 希望の大学に受かった僕。就職してエリートになった僕。中島とデートをする僕。中島と結婚する僕。
 塾の女の子からもてる僕も、悪者を倒して英雄になる僕も見た。
 空腹で我に返った。昨日、塾の前におやつをつまんだだけだったのを思い出す。
 そういえば何度も母親が様子を見に来ていた。居間に行けば、何か食べさせてもらえるだろう。
 僕はふらつきながらも階段を降りた。玄関にたどり着き、壁にある鏡を見た。
 そこには目の下に隈を作り、頬がこけ、干からびた唇をした男がいた。さっきまで見ていた自信に満ちた面影はない。
 これが僕だ。
 髪もぼさぼさで情けなく、頼りない男だ。
 塾で必死に勉強している浪人生だ。何一つ良い所なんて無い。
 気がついたら、僕は笑っていた。
 いつからあんな妄想を信じていたのだろう。
 いつからすがりついていたのだろう。
 いつから本当の自分を否定するようになったんだろう。
 僕は僕自身に笑い続けた。軽蔑し、罵った。罵られた僕は泣き出した。
 僕は僕自身に失望したら、睡魔に襲われた。
 もうどうでも良くなった僕は、睡魔の言うとおりにした。

 僕はあの日以来、あの鏡は見ていない。
 今もあの鏡は、机の引き出しに伏せられたままである。
 僕は相変わらず情けなく頼りない。
 彼女もいないし、未だに塾で必死に勉強している。
 だけど、鏡を見て失望することはなくなった。
 いつか僕が僕に夢中になる日を目指している。 
 


 願いの叶う鏡。


 起 主人公は願いの叶う鏡を拾う。
 承 願いを告げ、鏡の中では願い通りになる。
 転 鏡ばかり見ていたため、現実の自分にショックを受ける。
 結 理想に近づくため、鏡を捨て努力する。

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コメント

ありがとうございますー。

 細かな指摘ありがとうございましたー。
 正直言ってあんまり考えて書いてなかったので、反省。
 
 私なんかでよければ、拝見させていただきますー。
 すいません、以前言われたのにサイトがわからなくて……。
 読ませていただきますーっ

拝読しました

「願いの叶う鏡」


 肩が重い。

>かすかな頭痛と眼球も乾燥気味だった。
「~と~も~だった」という、いくつかのものを併置して述部につなげて説明する構文だが、述部「感想気味だった」に「かすかな頭痛」が係りにくく、わかりにくい文章になっている。

>わずかに噴き出す汗。心臓の鼓動が早くなる。
「わずかに」に係る「噴き出す」という修飾が強いように感じられた。汗がジェットのように噴出するわけではないが、そうしたイメージ範囲をこの言葉は持っており、かすかな違和感を与えるためである。

「どうやら知らないうちに眠ってしまったらしい。僕はつり革を掴み直した。
 笑みを含んだ視線に気がつく。よほど面白かったのか、僕より年下の女の子たちが遠慮をせずに笑っていた。
 自分では何が起こったのかわからないし、もしかして僕のことじゃないかもしれない。だけど、僕を見ながら笑われるのは良い気分じゃなかった。
 頬が熱くなっていくのを感じ、僕は俯く。心の中で必死に言い訳をし、女の子たちを非難した。」
  主人公の性格の説明。事件の開始。説明にとどまり、この時点で主人公へ深い移入はしにくい。

「焦っていた僕は、目的の駅より一つ前の駅で降りてしまった。すぐに気がついたけど、何気ない顔をして改札を出た。JRに乗る気は起きなかった。
 北風は僕を笑うように吹き付ける。」
  事件の展開。

「頬を冷ますのにはちょうど良い寒さだったし、頭がすっきりしてきた。ここから帰ってもそんなに遠くはない。
 僕は歩いて帰ることにした。
 夜空を見上げながら、色んなことを考えた。将来のこと、友達のこと、家族や勉強のこと。全部に靄がかかっているようで、ごちゃごちゃしていた。未来のことなんてうまく想像できない。
 大きなため息が自然と出た。」
  主人公の状況の説明。説明にとどまり、この時点で移入は生じない。

{それは未来に対してなのか、頼りない自分自身に対してなのかわからなかった。
 足下で硬い感触に僕は無意識に下を向いた。靴で感触を探る。
 すると雪の中に手鏡が落ちていた。真っ黒く、丸い、掌ほどの大きな鏡だった。
 どうしてこんな所にと、思いながらも拾ってみると鏡の裏には文字が彫ってあった。
 鏡のほうを見ると、曇っていて何も見えない。真っ白く濁っている。
 裏の『願いなさい』と彫られた文字を見て、僕はなんとなく思いっきり時間も勉強も気にしないで眠りたいと考えた。
 なので、まわりに誰もいないのを確認してから「ゆっくり寝たい」とつぶやいてみた。
 遠くから踏切の音が聞こえてきた。しばらくすると僕の横にある線路を電車が通っていく。叩きつける風を感じながら、電車を見送る。
 その間僕になにかが起こることはなかった。当然だと、苦笑いをする。
 電車が通ったあと、僕は鏡を元にあった場所に置こうとした。すると波の音が聞こえてきた。
 辺りを見まわしても、なにかが変わった感じはしない。耳を澄ますと僕の手にある鏡からだった。
 僕は慌てて鏡を裏返しにし、覗き込む。すると鏡の中で僕が寝ていた。
 どこか南国を思わすような砂浜。

>その中の木陰で、僕はハンモッグに揺られながら寝ていたのだ。}
「ハンモッグ」“ハンモック”
  事件の開始。異界(鏡)の導入。この部分から、現実を超えた事件が生じ、体験することができるために、移入が生じる。移入は、現実を離れた新しい物事への興味や、ここから何が起こるのだろうかという好奇心によって、物語の中で行われる行為・状況へ読者をひきつける力を作り出す。また、行為・状況を自分の関与することとして受け取ることではじめて「体験」が生じる。体験からは情動が生じる。ミヒャエル・エンデは物語の大きな特色として、「物語の中で読者が生きなおし、その体験を経て、癒しがたく分かたれていたもの、傷ついたものを統合する」と述べる。

「僕は気がつくと走り出していた。両手で鏡を抱えて、家を目指した。
 途中転びそうになりながらも、走った。普段動かない筋肉が悲鳴を上げ、全身の細胞が僕の行動を怒った。
 でも僕はまるで親友を得たかのように、胸が高鳴り、苦しみも心地よかった。
 家に着くと、自分の部屋に飛び込んだ。母親にはご飯は食べてきたと嘘をつく。
 手鏡を両手で持ち、深呼吸をした。
『願いなさい』という文字を見ながら、僕は将来のことを想像した。浮かんできたことを言葉に置き換える。
「僕が大学に受かって、学生生活を楽しみたい」
 裏返し、鏡を覗き込む。僕が大学のキャンパスで友人と歩いていた。五、六人いる見知らぬ友人たちは僕に向かって話しかけていた。
 飲み会のような場面だったり、学祭の準備のような場面もあった。
 僕はずっと鏡を見ていた。安心した気分になった。
 その設定に飽きると、僕は違うことをつぶやいた。
「僕に彼女ができる」
 鏡の中の僕は、女の子と手を繋いでいた。その子は同じ塾の女の子だった。

 その子は同じ塾の中島だった。塾の一番最初の日に席が隣だったこともあり、話しかけてきた子だ。
 だけど僕と中島が話をしたのはその日だけだった。次の日には中島は女友達を作り、それ以来一緒にいる。今は目を合わすこともなかった。
 鏡の中の僕は、中島を見つめている。筋肉のゆるんだ頬に下がった目尻は自分でもだらしなく思えたが、幸せそうだった。
 塾の最初の日のように、中島は僕に話しかけている。身振り手振りも添えて僕に伝えようと必死だ。
 鏡の中の僕は中島の髪に触れ、頭をゆっくり撫でた。中島は嬉しそうな表情をして、僕を見つめ返す。
 まるで吸い寄せられたかのように、中島が鏡の中の僕にもたれかかった。鏡の僕は中島を抱きしめた。
 僕は鏡を見続けていた。背中の痛みで、夜が明けたのを知った。
 結局僕は体調が悪いと塾を休んだ。布団に潜り、僕は鏡を見続けた。
 希望の大学に受かった僕。就職してエリートになった僕。中島とデートをする僕。中島と結婚する僕。
 塾の女の子からもてる僕も、悪者を倒して英雄になる僕も見た。
 空腹で我に返った。昨日、塾の前におやつをつまんだだけだったのを思い出す。
 そういえば何度も母親が様子を見に来ていた。居間に行けば、何か食べさせてもらえるだろう。
 僕はふらつきながらも階段を降りた。玄関にたどり着き、壁にある鏡を見た。」
  承部。テンポよく欲望をかなえていく過程が描かれる。ただ、骨が弱いように感じる。また、同じ話形のおはなしとして「邯鄲の夢」があげられる。欲望は肥大化し、際限なく人間を使役する。上の部分は、そうした欲望の持っているいろいろな面を事件展開にあまり用いておらず、単純に目の前にある夢をさしあたりかなえるにとどまる。このため、激しく訴求する行為・展開になっていない。

「そこには目の下に隈を作り、頬がこけ、干からびた唇をした男がいた。さっきまで見ていた自信に満ちた面影はない。
 これが僕だ。
 髪もぼさぼさで情けなく、頼りない男だ。
 塾で必死に勉強している浪人生だ。何一つ良い所なんて無い。
 気がついたら、僕は笑っていた。
 いつからあんな妄想を信じていたのだろう。
 いつからすがりついていたのだろう。
 いつから本当の自分を否定するようになったんだろう。
 僕は僕自身に笑い続けた。軽蔑し、罵った。罵られた僕は泣き出した。
 僕は僕自身に失望したら、睡魔に襲われた。
 もうどうでも良くなった僕は、睡魔の言うとおりにした。」
  転部。承部を受けて価値観が提示される部分である。ただ、原文ではこの部分に、「頼りなく力のない努力不足な自己」が提示されるにとどまる。なぜか? それは承部で威力ある行為・事件展開を行っていないためにこの価値観を受けるにとどまるためである。もし、承部で何か、主人公が自己の内面を激しく転換するような罪・あるいは功などを実現するとき、転部ももちろんそれを受けて変化し、導きだされる価値観も変化する。原文のこの部分で提示される価値観は主人公の力不足の指摘にとどまり、失意や幻滅を与えるが、情動として他の成分に乏しい。

「僕はあの日以来、あの鏡は見ていない。
 今もあの鏡は、机の引き出しに伏せられたままである。
 僕は相変わらず情けなく頼りない。
 彼女もいないし、未だに塾で必死に勉強している。
 だけど、鏡を見て失望することはなくなった。
 いつか僕が僕に夢中になる日を目指している。」
  結部。あまり夢のない努力目標が提示されるにとどまり、読者としても体験があまり生まれない。このため、情動も生じにくい。


 願いの叶う鏡。


 起 主人公は願いの叶う鏡を拾う。
 承 願いを告げ、鏡の中では願い通りになる。
 転 鏡ばかり見ていたため、現実の自分にショックを受ける。
 結 理想に近づくため、鏡を捨て努力する。

「邯鄲の夢」の場合は結部において何が生じるか? それは権勢を求めることやエリートになるということの無意味さと、今まで主人公がつみ上げてきた、社会の上位に受け容れられようとする努力のすべてを、自己や社会の価値観を離れ、外側から見たときの無意味さである。その、社会構造や、階級、価値というものを崩壊させる「外側からの視点」が広大な自由を読者に覚らせる。読者は、この作品から垣間見える、よるべなき人生のはかなさ、むなしさ、虚無といった真実を知ることができる。その真実の威力がこの物語の核である。物語に真実を封じるとき、その真実の閃きを人は愛し、物語は長く残る。


 えーと、縷々述べましたが翻って自分はどうなんじゃーといわれると困ってしまうのです(笑)
 そこでお願いがあるのですが自分の作品も見ていただけると大変ありがたいのですが……
http://www7a.biglobe.ne.jp/~kasten/urania.html
 童話の二次創作でちょっとながいものです。粗筋や事件、文体、描写、音韻、イメージなど、感じたことや思ったことを自由に書いて見せていただけると大変ありがたいです。自分では自分の作品のことがよくわからないものですので……できましたらよろしくおねがいします。ではー
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